3.切断・離断後のリハビリテーション
手術を行った直後から義足を装着して実際の生活に適応するまでに、段階的なリハビリテーションが必要になります。では、具体的なリハビリテーションを紹介しましょう。 |
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1)切断・離断直後 |
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この段階は、義足装着訓練をスムーズに行うために、切断・離断端のむくみと筋肉などがこわばって関節が固まっておこる関節の拘縮(こうしゅく)を予防することが大切です。むくみを予防し、切断・離断部位をかたちよく整えるために切断・離断端に弾力包帯を巻き、血液循環をよくします。さらに切断・離断した足をよい姿勢に保つことが大切です。 |
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2)義足装着前訓練 |
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手術後数日目から関節の正常な動きを保つための関節可動域訓練や切断・離断端の強化訓練を行います。
最初は、関節を動かさず筋肉を動かす運動をはじめます。まず自分でできる運動、例えば布団の中で全身の伸びをするのもいいでしょう。
傷の抜糸が終わったら次の段階の運動です。例えば、下肢切断の場合の関節可動域訓練として次のような運動があります。
- 股関節を後ろや内側外側へ伸ばす運動
- 膝関節を伸ばす運動
また、切断端の皮膚の強化訓練として次のようなことをします。
- 手や小枕などで断端をたたく
- 断端を砂嚢(さのう)のようなかたい枕で圧迫し刺激する
歩行の耐久性や立位バランスを保つために、健康な側の筋力強化運動も必要です。さらに義足歩行をするためには、立ち上がりや移動動作に全身の筋肉が使われますから全身の筋力強化も大切です。例えば次のような運動です。
- 健康な側の片足跳びや膝関節の屈伸運動
- 腹筋運動や骨盤を寝たままでベッドに押しつける運動
運動量の目安は、関節や筋肉が痛みを感じる前にやめて繰り返し行います。さらにこの時期は松葉杖や車椅子での移動になるのでその使用訓練も必要です。これらの基礎訓練の後、義足がつくられます。手術後約1ヶ月で採型をし仮義足がつくられます。手術後数ヶ月で調整をしながら本義足ができます。仮義足の段階で装着訓練がはじめられ、退院も可能です。 |
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3)義足装着訓練 |
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まず仮義足を用いての義足装着訓練、歩行訓練が行われます。歩行訓練は、理学療法士の指導のもとで次のような訓練を行います。
- 平行棒での立位バランス訓練
- 体重の義足側への移動
- 交互膝屈伸運動
- 平行棒内での前方への歩行訓練
- 横移動訓練
- 平行棒外での歩行訓練
次に日常生活に必要な動作の訓練をはじめます。
- 椅子での動作訓練、床からの起立と床に座る訓練、靴や衣類の着脱訓練、自転車や自動車の運転、バスの乗降訓練、さらに応用訓練として次のような訓練もします。
- 階段昇降や障害物訓練
- スポーツ運動療法
- ダンス
これらの段階的な訓練によってたくさんのことができるようになります。生活を楽しむためにチャレンジしてみましょう。 |